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一文字の違い/悔しい夜

 独立してまもないころ、ある大手企業からマニュアル作成の仕事をいただいた。

 それまで営業マンとしての経験しかなかったが、コンサルティングを目指していたので勉強にもなるその仕事を喜んでやらせていただいた。

 いろいろな営業現場に取材をして、売れそうなノウハウや人材の育成ポイントを作成する。

 50~60ページくらいのマニュアルを半年くらいかけて作成した。

 クライアントに最初に提出する前の日、いくつかの修正ポイントが見つかって、徹夜して作業をした。
 一緒に徹夜して手伝ってくれたスタッフもいた。

 朝、一睡もしていないフラフラの状態で、出来上がったマニュアルを先方にもっていった。
 最初のページをめくって、目次のところで
 「しまった!」

 クライアントの会社のあるサービスの名前が間違っていた。

 先方の担当者は、それだけで
 「もういい!」「これから先は見ても同じだから、やり直してまた持ってきて」

 せめて徹夜してここまで持ってきたのだから、最後まで見て欲しいと思ったが・・。

 「こんなミスがあるっていうことは、たぶん出来上がったものをちゃんと見直したり、精査したり出来てないんだろ。そんなものは見たくない」

 ある意味、おっしゃるとおりだった。

 半分泣きながら会社への帰路につく。

 会社にもどると、みんなが
 「どうでしたか?」
 と聞いてくれた。

 詳細を話すとみんな、悔しそう。

 その晩は、寝不足の中苦い酒を飲んだ。

 翌日、少し客観的な視点になれた目で、自分が作ったマニュアルを見ると、たしかに不備やつじつまの合わないところがたくさんあった。

 この状態でクライアントに出すということは、間違い探しをお金をいただいているお客さまにさせていることだと気がついた。

 そうした自己客観チェックも終わって、自分の中では完璧になったものをお客様にはださなくてなならないのだ。そしてそうした時間もはじめから、スケジュールに読み込んでいなければならない。

 到底、プロの仕事とは言えないと、海より深く反省した。

 このお客様とはその後3年くらいお付き合いしたが、たくさんのことを教えてたいだいた。

 今でも感謝の念が耐えない。お金と学びを両方くれた。本当のプレッシャーの中で仕事をして、結果を出すことの難しさを体感できた。

2006.11.21
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